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知らぬは一生の損

暮らしの中の躓き《税金の悩み》を取り除きます。ちょっと覗いてみませんか。

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換価分割を行った場合の譲渡所得の計算

Q.
遺産に複数の不動産が含まれていたので、兄弟3人で取り分が均等になるように分け合うことにしました。一部の不動産は売却して現金化することで取り分を調整しました。ところで、売却すると所得税がかかると聞いたのですが、売却金額から各人が受領する金額が違う場合でも、譲渡所得にかかる総収入金額は同額として計算するのでしょうか?

A.
相続により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価して、その換価代金を共同相続人で分割する方法を「換価分割」と言います。
換価分割では、共同相続した現物を直接に分割の対象とはせず、共同相続人が全員でその未分割の現物を処分するか否か、処分の時期、内容等を決めて処分することになります。
そして、処分(譲渡)した場合に得られる譲渡代金は共同相続人全員に帰属し、それを各相続人が分割取得することになります。

一方、譲渡所得の算定に当たっては、遺産分割によって各相続人が分割取得した換価代金相当の不動産持分を取得し、これを譲渡して換価代金を得たものと考えます。
したがって、各相続人に課税される所得税額は、各相続人が受領した換価代金を譲渡所得にかかる総収入金額として課税されます。

不動産を買主へ譲渡するため、共同相続人が共有という形で所有権移転登記を行い、登記上の持分が各3分の1となっていることもあります。
このような場合であっても、被相続人名義のままでは売却できないので、売買契約を履行するため便宜的に持分を各3分の1としただけに過ぎないと見るのが適切です。

また、処分(譲渡)に当たって、不動産業者への仲介手数料、売買契約書の収入印紙代、境界確認費用等の譲渡費用を3分の1ずつ均等に負担した場合であっても、それは譲渡費用に限ったもので、不動産を持分3分の1ずつ分割すると合意をしていたものとはみなされません。

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相続した不動産を、第三者の取得時効で失った場合

Q.
 土地を相続したのですが、「相続開始前に既に第三者による取得時効が完成していた」という事実を認める判決が確定しました。既に納めた相続税について、計算し直すことはできるでしょうか?

A.
 国税通則法では、課税標準や税額の計算の基礎とした事実に関する訴えがあり、基礎とした事実と異なることが判決で確定したときは、その確定した日の翌日から2ヵ月以内であれば更正の請求が認められます。
 これは、課税計算の前提となる諸事実が広範囲かつ多岐にわたっており、その中には権利関係が明確でないものの含まれていることがあります。このような事実であっても、課税の基礎とせざるを得ない場合がありますので、判決等による事実関係の確定を得て、課税の適切な是正を図るという趣旨があります。

 相続開始時点では、取得時効の要件のうち、時効の援用以外の要件が満たされていた状態でしたので、取得時効は完成していないという事実に基づいた税額を計算せざるを得ません。しかし判決で、相続開始日前に既に取得時効の期間が満了し、取得時効が完成していたという事実が確定したのであれば、これは国税通則法に規定されているように、計算の基礎とした事実と相違があると認められます。

 計算の基礎となる財産の価額は時価、すなわち客観的な交換価値を示す価額であるとされています。そして、価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮して評価するものとされています。そこで、取得時効の影響というものも踏まえて財産の価額を求めることになります。

 相続開始時点で既に時効期間が経過していたことから、第三者による時効の援用があると相続人は所有権の喪失を甘受せざるを得ない状況であり、これは防ぎようがありません。
 もし土地の所有権を確保しようとするなら、時効を援用しようとする相手方に、土地の客観的交換価値に相当する金員を支払うということなります。
 つまりは土地の所有権を確実なものとすると、同額の支払いが生じるため、財産の価額は零円ということになるわけです。

 したがって、あらためて税額を計算し、納付した額が過大であった場合には更正の請求が可能となります。

不動産を譲渡したときの取得価額

Q.
 相続した土地・建物を売却したのですが、購入したときの売買契約書がないため取得価額がわかりません。税務署に相談すると、収入金額の5%を概算取得費として計算するしかないと言われました。ほかに方法はないのでしょうか?

A.
 土地や建物(販売用ではないもの)を譲渡した場合、収入金額から資産の取得費や譲渡に要した費用の額を控除して譲渡所得を求めます。
 取得費には資産の取得に要した金額のほか、その後の設備費・改良費が加わります。
 相続(単純承認)で取得した資産の取得費は、被相続人が取得に要した金額に、相続人が支出した設備費・改良費等を加えて求めます。

 ただ、先祖伝来の土地や建物であったり、取得時期が古いため金額が不明なことがあります。
 税法では、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地建物を譲渡した場合、長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、その収入金額の5%に相当する金額とすることができるという規定があります。
 さらに通達で、昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても、同項の規定に準じて計算して差し支えないものとされています。

 この通達というのは、法律・政令・省令等の解釈や行政の運用方針について、国税庁が下級庁に対して発した命令や指令ですので、法律のように強制力を持つものではありません。
 もしバブル期のように地価が高騰している時期に土地を取得したという場合、取得費が収入金額を上回っている可能性も十分にあります。
 税務署は通達に沿った処理を求めますので、異なる算定方法を採る場合、合理的と認められる方法でなければなりません。

 その方法として、建物の取得費を着工建築物構造別単価から算定し、土地については市街地価格指数を基に算定する方法があります。

 まず、建物の取得費は、統計的な数値として公表されている着工建築物構造別単価があり、これを基に建築価格を算定します。
 ここから譲渡時までの減価償却費相当額を控除することで、実勢価額の近似値と認められる時価相当額が推定されます。
 続いて、土地の取得費は、収入金額から求められた建物の取得費を差し引いたものに、譲渡時の市街地価格指数に対する取得時の指数の割合を乗ずることで時価相当額が推定されます。

 こうして求められた土地・建物の取得費は、いずれも市場価格を反映したもので、合理性があると認められます。

投資用マンションの減価償却費

Q.
 投資用に区分所有マンション(1戸)を購入して、賃貸しています。確定申告では、建物本体と建物附属設備を分けて減価償却費を計算していましたが、税務署から一括して減価償却費を計算するように指導されました。税務署の指導通り、修正申告が必要でしょうか?

A.
 建物本体と建物附属設備とでは耐用年数が大きく異なります。
 たとえば、建物本体の耐用年数は鉄骨鉄筋コンクリートや鉄筋コンクリート造であれば47年、鉄骨造であれば27年や34年(骨格材の肉厚で違ってきます)となっています。これに対して、建物附属設備の耐用年数は、電気設備や給排水又は衛生設備及びガス設備は15年などとなっています。

 これまで建物附属設備の耐用年数を15年で計算していたのに、それを47年で計算しなおすことになると、それだけ経費が減って、不動産所得は多くなり、納めなければいけない税金も増えることになります。また、借り入れをしてマンションを購入していた場合、減価償却費は現金支出がない経費ですから、その分を返済に充てている人もいるかと思います。税務署の指導に従うとすると、返済計画を根本から見直すことになりかねません。

 結論から言いますと、建物本体と建物附属設備の減価償却費は分けて計算することが可能で、税務署の指導通りにする必要はありません。ただし、税務署に説明するためには、建物本体と建物附属設備それぞれの取得価額の計算根拠となる資料を揃えなければなりません。

 ここからは、資料から建物本体と建物附属設備それぞれの取得価額の計算方法を簡単に説明します。
 まず、マンションの取得価額を土地と建物の取得価額に分けます。
 売買契約書にそれぞれの価額が記載されていれば、その金額となります。売買契約書で分かれていない場合でも、売主の経理処理で分けられていれば、その金額を使うことができます。売主に資料がない場合は、固定資産税評価額を指標とすることも可能です。指標と言ったのは、必ずしも固定資産税評価額をそのまま使うのではないことに注意してください。また、固定資産税評価額は3年に1度しか評価替えが行われないので、評価替えした時から取得した時までの土地の価格変動や建物の損耗分を補正する必要があります。

 続いて、建物の取得価額を建物本体と建物附属設備の取得価額に分けます。
 これも売買契約書からそれぞれの取得価額が分かれば、その金額となります。もし分からない場合は、建築主が保存している工事請負契約書を基に、建物本体と建物附属設備それぞれの取得価額を計算することになります。購入したマンションが新築でない場合は、損耗分の補正をします。

 税務署が「建物本体及び建物附属設備の価額が明確に区分できなかったので、やむを得ず、建物附属設備の価額を建物本体の価額に含めたところで減価償却費を計算」することは認められませんので、必要な資料を揃えることでトラブルを回避できます。

ブログ開設のご挨拶

税務専門ブログ「知らぬは一生の損」を開設しました。

「税金を払わないと後々大変なのは知っているけれど、いったい何が必要なの? どう計算したらいいの?」
平穏な毎日を送っていても、ふと躓く瞬間があります。

このような悩みに、簡潔明瞭にお答えしていきます。
税務当局と争った論点を中心に、実用的な話題を取り上げていきますので、躓きを根本から取り除く参考にしてください。

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HN:
千葉康広
年齢:
55
性別:
男性
誕生日:
1969/02/17
職業:
税理士
趣味:
JAZZ鑑賞、CM鑑賞

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