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相続した不動産を、第三者の取得時効で失った場合

Q.
 土地を相続したのですが、「相続開始前に既に第三者による取得時効が完成していた」という事実を認める判決が確定しました。既に納めた相続税について、計算し直すことはできるでしょうか?

A.
 国税通則法では、課税標準や税額の計算の基礎とした事実に関する訴えがあり、基礎とした事実と異なることが判決で確定したときは、その確定した日の翌日から2ヵ月以内であれば更正の請求が認められます。
 これは、課税計算の前提となる諸事実が広範囲かつ多岐にわたっており、その中には権利関係が明確でないものの含まれていることがあります。このような事実であっても、課税の基礎とせざるを得ない場合がありますので、判決等による事実関係の確定を得て、課税の適切な是正を図るという趣旨があります。

 相続開始時点では、取得時効の要件のうち、時効の援用以外の要件が満たされていた状態でしたので、取得時効は完成していないという事実に基づいた税額を計算せざるを得ません。しかし判決で、相続開始日前に既に取得時効の期間が満了し、取得時効が完成していたという事実が確定したのであれば、これは国税通則法に規定されているように、計算の基礎とした事実と相違があると認められます。

 計算の基礎となる財産の価額は時価、すなわち客観的な交換価値を示す価額であるとされています。そして、価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮して評価するものとされています。そこで、取得時効の影響というものも踏まえて財産の価額を求めることになります。

 相続開始時点で既に時効期間が経過していたことから、第三者による時効の援用があると相続人は所有権の喪失を甘受せざるを得ない状況であり、これは防ぎようがありません。
 もし土地の所有権を確保しようとするなら、時効を援用しようとする相手方に、土地の客観的交換価値に相当する金員を支払うということなります。
 つまりは土地の所有権を確実なものとすると、同額の支払いが生じるため、財産の価額は零円ということになるわけです。

 したがって、あらためて税額を計算し、納付した額が過大であった場合には更正の請求が可能となります。

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