Q.
遺産に複数の不動産が含まれていたので、兄弟3人で取り分が均等になるように分け合うことにしました。一部の不動産は売却して現金化することで取り分を調整しました。ところで、売却すると所得税がかかると聞いたのですが、売却金額から各人が受領する金額が違う場合でも、譲渡所得にかかる総収入金額は同額として計算するのでしょうか?
A.
相続により取得した財産の全部又は一部を金銭に換価して、その換価代金を共同相続人で分割する方法を「換価分割」と言います。
換価分割では、共同相続した現物を直接に分割の対象とはせず、共同相続人が全員でその未分割の現物を処分するか否か、処分の時期、内容等を決めて処分することになります。
そして、処分(譲渡)した場合に得られる譲渡代金は共同相続人全員に帰属し、それを各相続人が分割取得することになります。
一方、譲渡所得の算定に当たっては、遺産分割によって各相続人が分割取得した換価代金相当の不動産持分を取得し、これを譲渡して換価代金を得たものと考えます。
したがって、各相続人に課税される所得税額は、各相続人が受領した換価代金を譲渡所得にかかる総収入金額として課税されます。
不動産を買主へ譲渡するため、共同相続人が共有という形で所有権移転登記を行い、登記上の持分が各3分の1となっていることもあります。
このような場合であっても、被相続人名義のままでは売却できないので、売買契約を履行するため便宜的に持分を各3分の1としただけに過ぎないと見るのが適切です。
また、処分(譲渡)に当たって、不動産業者への仲介手数料、売買契約書の収入印紙代、境界確認費用等の譲渡費用を3分の1ずつ均等に負担した場合であっても、それは譲渡費用に限ったもので、不動産を持分3分の1ずつ分割すると合意をしていたものとはみなされません。
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